大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和47年(特わ)1494号 判決

被告人

1.

本店所在地 東京都大田区中央三丁目一七番八号

株式会社 大倉商事

(代表者代表取締役 大橋三郎)

2.

本籍 東京都新宿区市谷富久町六〇番地

住居

東京都新宿区若松町一〇二番地

職業

会社役員

畑秀雄

大正四年九月三〇日生

被告事件

法人税法違反

出席検察官

田中豊

主文

1. 被告人株式会社大倉商事を罰金一、五〇〇万円に

被告人畑秀雄を懲役八月に

それぞれ処する。

2. 被告人畑秀雄に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となる事実)

被告人会社は、東京都大田区中央三丁目一七番八号に本店を置き、同都千代田区神田錦町二丁目四番地所在フクヤマ第三ビルに営業所を設けて、貸金業を営む資本金二、〇〇〇万円の株式会社、被告人は、被告人会社の取締役で事実上同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようとくわだて、利息収入の一部を除外する等して所得を秘匿したうえ

第一、昭和四三年一〇月一日から同四四年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が七二、一一六、七四一円あつたのにかかわらず、昭和四四年一二月一日東京都大田区中央七丁目四番一八号所在所轄大森税務署において同税務署長に対し、所得金額が二五、七六四、〇七〇円で、これに対する法人税額が八、八〇七、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二五、〇三〇、六〇〇円と右申告税額との差額一六、二二三、二〇〇円を免れ(別紙一、三)

第二、昭和四四年一〇月一日から同四五年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一四五、〇三一、六二三円あつたのにかかわらず、昭和四五年一一月三〇日前記大森税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一五、五一三、二七三円で、これに対する法人税額が五、四三八、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五三、〇三六、三〇〇円と右申告税額との差額四七、五九七、八〇〇円を免れ(別紙二、三)

たものである。

(証拠の標目)(甲、乙は検察官の証拠請求の符号、押は当庁昭和四八年押三〇四号のうちの符号を示す。その下の記載は立証事実で数字は別紙一、二の各勘定科目の番号である。)

一  被告人の当公判廷における供述および検察官に対する供述調書(乙3ないし5)(全般)

一  被告人に対する大蔵事務官の質問てん末書(乙1・2)(全般)

一  被告人作成の上申書(架空給料および架空借入について)(乙9)(二の3)

一  登記官作成の登記簿謄本(甲一1・2)(全般)

一  次の者に対する大蔵事務官の質問てん末書

一  伊東光彦(甲一3)、古沢洸子(甲一4・7)、大橋三郎(甲一8)、石川進(甲一10)(全般)

一  古沢洸子の検察官に対する供述調書(甲一5・6)(全般)

一  右 同 (甲一37)(一の25、二の27)

一  古沢洸子作成の次の上申書

1 各期末貸付金残高および各期末貸付金利息収入等について(甲一11)(一、二の1)

2 割引料収入、同戻し利息、未経過利息について(甲一15)(一、二の1)

3 簿外経費について(甲一21)(一の2・4・5・8・20ないし24、二の2ないし5・8・20・22ないし24・26)

4 簿外取立手数料等について(甲一24)(一の25、二の27)

5 簿外経費について(甲一36)(一の25、二の27)

6 現金過不足勘定について(甲一38)(一の26、二の25)

一  次の者作成の上申書

1 鈴原義雄(支払利息について)(甲一17)(一、二の1)

2 鈴木裕子(簿外貸付金および簿外受取利息(甲一18)(一、二の1)

3 右 同(簿外経費について)(甲一19)(一の2ないし8・11・14ないし16・20)

4 右 同(右 同)(甲一20)(二の3ないし5・20)

一  大蔵事務官作成の次の書面

1 簿外預金利息(税引)調査書(甲一25)(一の25、二の27)

2 債権償却引当勘定調査書(甲一39)(一の27・28、二の28・29)

3 不渡手形期末在高及び各期貸倒金調査書(甲一40)(一の29、二の30)

4 法人税額計算書(甲一44)(二の31・32)

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲一41)(二の30)

一  大森税務署長作成の証明書(甲一42)(一の31)

一  右 同(甲一43)(一の30・31、二の32)

一  押収してある次の証拠物

1 総勘定元帳三綴(押1、2)(全般)

2 決算書綴一綴(押13)(全般)

3 確定申告書二綴(押14、15)(全般)

(法令の適用)

1  被告人会社につき法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項。

2  被告人につき法人税法一五九条(各懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第二の罪の刑に加重)。同法二五条一項(主文2)

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一 修正損益計算書

株式会社 大倉商事

自 昭和43年10月1日

至 昭和44年9月30日

〈省略〉

〈省略〉

別紙二 修正損益計算書

株式会社 大倉商事

自 昭和44年10月1日

至 昭和45年9月30日

〈省略〉

〈省略〉

別紙三 法人税額計算書

株式会社 大倉商事

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例